【短編】さかさまの世界-転-
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季節は夏から秋へと移りかわる。
少年は、いつものようにさかさまの世界にいる。
今日は平日。
みやもと先生も一緒だ。
「先生。」
「なーに?」
「僕って変かな。」
「どうしてー?」
「だって、いつも鉄棒で遊んでる。みんな野球したりサッカーしたりかくれんぼしたり
みんなで遊んでるのに、僕だけ1人で遊んでるから。」
少年は少し早口で言った。
「たしかに変わってるかもね。」
みやもと先生は答える。
「でも、よしむら君は鉄棒で遊ぶのが好きなんでしょ?
だったら、それでいいんじゃないかな。別に周りの人に合わせて遊ばなくても
いいんじゃない。」
みやもと先生はニコニコしながら答える。
「そっかー、うん、そうだよね。僕も本当はそう思ってたんだ。」
よしむらも、ニコニコしながら答えた。
「よしむら君、今日は先生から言わないといけないことがあるんだ。」
「なにー?」
「先生ね、もうすぐ学校辞めるの。」
よしむらは、しばらく腕組みをした。
また、今度は本当に考えているようだ。
秋風が2人の頬をうって、校庭には昼休みが終わるチャイムが響いた。